疾患別

網膜剥離

網膜は約0.3mm程度の非常に薄い膜ですが、10層構造になっています。なかでも特にものを見るのに重要な「視細胞」は網膜の裏面に近い9層目にずらっと並んでいて、接している脈絡膜のサポートを受けています。
さまざまな原因で網膜に穴が開くと、網膜と脈絡膜のすき間に眼球の中の水が回って網膜が浮いてきます。これが網膜剥離です。剥離した網膜は脈絡膜のサポートを受けることができなくなり、機能が落ち、場合によっては剥離した範囲が広がって失明につながる恐ろしい病気です。

どんな症状?

まず飛蚊症(蚊やゴミが飛んでるように見える)や光視症(視界の端に、チカチカ光が走る)といったものがおき、続いて見える範囲が徐々に狭くなってきます(網膜の剥がれが広がってくるため)。50歳以降でおきた網膜剥離の場合は、目の中の硝子体が若い頃と比べて水っぽくなっているため、網膜剥離が進行する速度は速いです。自然に回復することはないため、失明を防ぐには何らかの治療が必要になります。

治療について

開いた穴や剥がれた網膜の範囲が小さい場合には網膜レーザー光凝固で治療できます。まだ剥がれていない部分の網膜にレーザーでヤケドをつくり、癒着を促すことで進行を止めますが、これはその日のうちに当院でも可能な処置です。そうでない場合には眼球の外からシリコンのバンドで押さえつけたり、眼球の中から特殊なガスを入れて網膜を貼りつける手術が必要で、こちらは本院であれば対応可能です。

ぶどう膜炎や糖尿病網膜症などの病気が原因で網膜に穴が開かずに網膜剥離がおきてくる場合もありますが、その場合には原因となっている病気の治療を行ったうえで手術が必要か検討します。