黄斑円孔
黄斑円孔とは、網膜の中心である黄斑に穴が開いてしまう病気です。人間は例えば本を読むとき、黄斑部に読みたい文字の焦点を合わせています。黄斑部に焦点を合わせれば1.0まで視力がでる人でも、そこから1mmもずれた網膜では0.1程度しか視力がでないためです。黄斑に穴が開くと当然そこだけ見えなくなるので、モノを見ようとしたときに真ん中だけ見えなかったり、あるいは中心がすぼまって見えるといった症状が出てきます。
治療について
点眼や内服では治療効果がなく、治療には手術が必要です。放っておくと開いた黄斑円孔から網膜の裏側に水が回り、「黄斑円孔網膜剥離」となって見づらい範囲が広がってしまいます。手術では眼の中に直接細い器具を差しこんで、円孔の周りの網膜の表面の薄皮をはぎ取ります。この薄皮をはぎ取ることで穴の周りの網膜が伸びやすくなって黄斑部で再度くっつくのを促し、最後に特殊なガスを眼の中に注入します。穴が塞がるまでの間、ガスが穴のところに十分あたるよう、うつ伏せの姿勢を保つ必要があります。眼の中に入れたガスは、その種類によりますが2週間程度でほとんど吸収されてなくなります。視力は改善することがほとんどですが、ゆがんで見える症状はある程度残ってしまいます。