第7回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内

2015年2月27日(金)
川越プリンスホテル 3階「ゴールド」
埼玉県川越市新富町1-22 ☎049-227-1111
共催 :埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社
連絡先 :埼玉臨床眼科セミナー事務局 〒350-1316 埼玉県狭山市南入曽565-11
TEL:04-2999-0666 FAX:04-2999-0667

謹啓

時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

埼玉県下の病院と診療所との診療連携を深める目的で発足した「埼玉臨床眼科セミナー」も今回で第7回を迎えました。これまでたくさんの先生にご参加いただき、心より御礼申し上げます。今回は、当教室の神田貴之講師による緑内障治療の教育講演の他、特別講演には富山大学医学部眼科教授の林篤志先生、埼玉医科大学医学部眼科教授の板谷正紀先生をお招きしております。講演後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

謹白
防衛医科大学校 眼科学教室
教授 竹内 大

ご挨拶
教育講演
19:00〜19:20
原発開放隅角緑内障に対するブリモニジン点眼液追加による視野障害進行抑制効果
座長廣田 直人先生 東町眼科 院長
演者神田 貴之先生 防衛医科大学校 眼科学教室 講師
【目   的】
交感神経α2アゴニストの0.1%ブリモニジン酒石酸塩点眼液は、Low-pressure Glaucoma Treatment Studyにおけるチモロールとのランダム化スタディでは眼圧下降に有意差がないにもかかわらずブリモニジンで有意な視野維持効果があったとの報告がなされ(Krupin et al. Am J Ophthalmol 2011)、眼圧下降によらない視野維持効果が期待されている。今回我々は抗緑内障点眼薬を単剤または多剤投与されている原発開放隅角緑内障の視野障害進行に対する、0.1%ブリモニジン酒石酸塩点眼追加投与の影響を後ろ向きに検討したので報告する。
【方   法】
0.1%ブリモニジン点眼追加前後1年間で視野経過観察が可能であった原発開放隅角緑内障患者20例34眼の診療録より、追加前の点眼薬、追加1年前、追加時、および追加1年後の、眼圧およびHumphrey 30-2 SITA-Standardの所見を検討した。
【結   果】
追加前の点眼薬の内訳はPG単剤(以下単剤)投与群7例12眼、PG/β合剤+CAIあるいはPG+β/CAI合剤(以下2剤)投与群13例22眼であった。0.1%ブリモニジン点眼液追加前および1年後における眼圧は、単剤投与群では12.9±1.4mmHgから11.2±1.7 mmHg、2剤投与群では16.2±3.5 mmHgから14.2±3.6 mmHgで、両群とも追加投与により眼圧は有意に下降した。ブリモニジン点眼追加前1年間および追加後1年間の視野MD値変化は、単剤投与群では-0.89±1.48 dBおよび-0.06±0.71 dB、2剤投与群では-1.02±0.86 dBおよび-0.08±1.33 dBで、両群とも追加後1年間のMD値の悪化が抑制されていた。
【結   論】
0.1%ブリモニジン酒石酸塩点眼液の追加投与は、眼圧下降作用に加えて視野障害の進行抑制にも有効である可能性が示唆された。
特別講演Ⅰ
19:20~20:10
緑内障手術と硝子体手術で失明と戦う
座長櫻井 真彦先生 埼玉医科大学総合医療センター眼科 教授
演者板谷 正紀先生 埼玉医科大学医学部 眼科 教授

緑内障と網膜硝子体疾患は合わせて中途失明原因の約4分の3を占める2大疾患群である。このような疾患の治療では、患者も我々眼科医も苦労をともにしている。この2大分野の治療技術を磨くとともに治療を進歩させることが「死ぬまで自分の眼でものを見て生活する」という人間としてあたりまえの幸せを守るために重要である。

緑内障治療は各患者が期待余命の間生活に困らない視機能を維持する戦略である。もっとも大変な部分は、80歳の女性患者の平均期待余命が11年以上あるという長寿国において、死に至る直前まで視機能を維持するために、今の治療をどうすべきかと考えることにある。下方5度以内の視野しか残っていない80歳の女性にどのような治療を行うべきか?まだ40代なのに中心視野が障害されている強度近視眼緑内障患者にどのような治療を行うべきか?緑内障治療は患者の家族背景なども含めて患者と向かい合う必要がある。脂汗とともに自分なりにたどり着いた緑内障手術についてお話しさせていただく。

網膜硝子体診療は、OCTをはじめとする診断機器の進歩と硝子体手術システムと顕微鏡システムの進歩により、診断と治療が飛躍的に進歩した。しかし、これほど進歩しても網膜硝子体疾患は中途失明の半分を占める。特に、2位の増殖糖尿病網膜症は時に検眼鏡的に治っても視機能が十分残らないことが多い。埼玉医大に着任して重症な増殖糖尿病網膜症が多いことに驚いた。血管新生緑内障も実に多く、網膜硝子体手術と緑内障手術の両方を極めることの必要性を感じる。また埼玉医大の網膜剥離は、全剥離症例やPVRも多い。このような重症例の治療に当たることにやりがいを感じるとともに、手術技術の限界とさらなる進歩の必要性を強く感じる。

京都で学び一昨年よりに埼玉で緑内障と網膜硝子体疾患の治療を開始して痛感していることをお話しさせていただき今後の眼科医療の発展を展望したい。

特別講演Ⅱ
20:10~21:00
黄斑疾患の新しい検査と手術戦略
座長竹内 大先生 防衛医科大学校 眼科学教室 教授
演者林 篤志先生 富山大学医学部 眼科 教授

この数年で黄斑疾患の診断、治療は大きく変化した。まず、OCTの解像度が格段に良くなり、個々の病態における黄斑部の変化を詳細に観察できるようになった。最近では補償光学眼底カメラも市販されるようになり、黄斑疾患や網膜変性疾患における黄斑部視細胞を生体眼のまま直接観察できるようになった。我々は補償光学眼底カメラを用いた各疾患における視細胞の観察を行っているので、ご紹介したい。また、非侵襲的に網膜血管の酸素飽和度を測定できる眼底カメラであるOxymapT1も臨床研究目的で使用しており、一緒にご紹介したい。

また、黄斑疾患の手術治療では、硝子体手術システムや環境の改善により、全体的な手術成績が向上しているだけでなく、黄斑下血腫、強度近視に伴う黄斑円孔、近視性牽引性黄斑症などの治療が困難な疾患に対しても治療成績が向上してきており、現在、それらの疾患に対して行っている手術方法について、まとめながらお話したい。

※プログラム終了後、情報交換会を予定しております。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社
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