第6回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
埼玉県西部の眼科各領域における診療情報の共有の場として発足した「埼玉臨床眼科セミナー」も今回で第6回を迎えました。これまでたくさんの先生にご参加いただき、心より御礼申し上げます。
今回は、埼玉医科大学総合医療センター眼科 林 亜里紗先生から一般講演の他、特別講演には山梨大学医学部眼科教授の飯島裕幸先生、神戸大学医学部眼科教授の中村誠先生をお招きしております。講演後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。
多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学校眼科学教室
竹内 大

緑内障による視機能障害は網膜神経節細胞(RGC, retinal ganglion cell)と視神経が障害されることによって生じる。緑内障性視神経症の発生メカニズムは不明であるが、原因の如何に関わらず、RGC死が実行されないように介入する方法が緑内障性視神経症における神経保護治療ということになる。これまでに多くの薬物が、さまざまな投与形態で、なんらかの神経保護効果を発揮する可能性のあることが基礎研究のレベルで報告されてきた。にもかかわらず、前臨床試験段階で潜在的な神経保護効果を発揮する薬物であっても、ヒトへの応用、臨床試験の厚い壁を乗り越えることのできたものは皆無といってもよい。大きな期待をもたれていたメマンチン・スタデイはうやむやのうちに闇に葬り去られた。動物モデルでは有意な神経保護作用発揮する薬物は、なぜ、ヒトでは効かないのだろうか?一方で、最近のランダム化前向き臨床試験で、α2作動薬、ブリモニジン点眼が眼圧下降によらない視野進行抑制効果を示すという報告があった。またチモロールと炭酸脱水酵素阻害薬の組み合わせにおいて、ドルゾラミドの方がブリンゾラミドよりもPOAG患者の視野進行のリスクを半減させるという報告も出された。本講演では、基礎研究と臨床応用の間に立ちはだかる壁はいったい何なのか、点眼薬における神経保護効果はいよいよ実証されるようになってきたのか、解説していきたい。緑内障性視神経症に対する神経保護治療。
To be or not to be. That is the question!
ハンフリー視野計は緑内障診療においては確固たる地位を築いている。その理由は、中心視野内の暗点の把握が早期診断に有用であることと、MDスロープなどを利用した進行評価が年余にわたる緑内障の経過観察、治療効果評価に有用であることであろう。
網膜疾患の中でも中心性漿液性脈絡網膜症や加齢黄斑変性、網膜静脈分枝閉塞症BRVOなど中心視野内に暗点を生じる疾患においては、視機能評価手段としてハンフリー視野検査はときに視力測定以上に有用で利用価値がある。これら疾患患者さんが[患眼でみるとみにくい]という訴えは、ときに矯正視力では理解できず、中心視野内での暗点を評価してはじめて理解できることが少なくない。たとえば上耳側BRVO眼の中には、下方視野に深い暗点を生じていることがあり、そのような患者では視力が1.2に改善してもよくなったとの自覚はない。さらにかつてBRVOの黄斑浮腫に対してレーザー光凝固治療が行われたが、不用意なレーザー治療で医原性暗点を生じると、視力が改善しても患者さんはかえって治療後悪化したとの不満をいだくことになる。
他方、緑内障と同様、慢性進行性の疾患である網膜色素変性は、ゴールドマン視野計でその進行をモニターするよりも、ハンフリー視野計30-2または10-2のMDスロープでの進行のほうが客観性定量性に優れ、患者さんの将来設計により役立つアドバイスが可能になる。
講演では現状の眼科臨床では残念ながら必ずしも十分に利用されているとはいえないハンフリー視野計の網膜疾患での利用について実例をあげつつ解説する。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社