第10回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
埼玉県下で眼科診療に携わる病院と診療所との医療連携を深め、より充実した眼科医療の提供を目的とした「埼玉臨床眼科セミナー」も記念すべき第10回を迎えることができました。これも偏にこれまでご参加頂いた先生方のお蔭であり、心より感謝申し上げます。今回の特別講演には、浜松医科大学病院教授の佐藤美保先生、北海道大学准教授の南場研一先生をお招きし、佐藤先生には小児眼科疾患の病診連携を中心として診療マニュアルについて、南場先生には日常診療におけるルーティンなぶどう膜炎診療についてお話し頂きます。講演会後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学校 眼科学教室
教授 竹内 大
─ ぶどう膜炎の診断と治療 ─
ぶどう膜炎の診断は、眼所見およびスクリーニング検査(血液・尿検査、胸部X線写真、ツベルクリン反応など)からある疾患を類推し、それに基づいた眼科画像検査(蛍光眼底造影検査、光干渉断層計など)および全身検査・他臓器の検査おこない、その結果から診断に結びつける。このようなルーティーンの流れはとても大切であるが、時には眼所見からある疾患を瞬時に推察し、すぐにしかるべき病院へ担送し治療を開始すべき疾患がある。たとえば急性網膜壊死である。治療開始が遅れれば視力予後も悪くなる。
本講演では、そのような日頃なかなか目にしない、しかし大変重要な疾患の症例を提示することで、聴講者に診療の疑似体験をしていただくとともに、そのような疾患に遭遇した時の一助となれば幸いである。病診連携とは、地域のかかりつけ医と専門病院が患者さんに関する連絡を取り合いながら協力して診療していく体制をさす。診断が困難な症例、手術や特殊な治療が必要な場合に、地域の診療所から専門病院へ紹介する場合と、急性期をすぎて安定した状態になったり、治療が一旦終了した時点で、専門病院から地域のかかりつけ医に逆紹介する場合がある。特に小児疾患においては、継続的な治療を必要とする場合が多いのに対して、乳幼児の専門病院への通院は家族の負担が大きい。また学童期になると学校を休んでの通院は困難で、土曜日や夜間に診療する開業医への転医が必要になる場合もある。
小児眼科領域で病診連携が頻繁に必要となるのは、弱視感受性期間内の治療と学童期になってからの継続的な眼鏡処方、斜視手術とその後の経過観察が代表的である。また緑内障や網膜疾患など、稀な疾患に関しても状態が落ち着いている場合には、地域で定期検査を行うことが望まれる。
本講演では、一般診療所から専門施設に紹介するタイミングやポイント、また逆紹介された場合の、小児患者の定期検査のポイントについて解説する。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社