第4回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
病院と診療所との診療連携を深める目的で発足した「埼玉臨床眼科セミナー」も今回で第4回を迎えました。これまで所沢近郊のたくさんの先生にご参加いただき、心より御礼申し上げます。
今回は、当教室の加藤直子講師による「ドライアイ」の教育講演の他、特別講演には大阪医科大学眼科教授の池田恒彦先生、四谷しらと眼科院長の白土城照先生をお招きしております。
今回から埼玉医大総合医療センターの櫻井真彦先生にも本会の運営に携わって戴くことになり、川越エリアを含めた埼玉県西部の眼科各領域における診療情報の共有の場に発展させていきたいと願っております。講演後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学校眼科学教室
教授 竹内 大
国内のドライアイ罹患患者数は3000万人にのぼると推定され、VDT作業の増加など生活習慣の変化も相まって、毎日の診療でドライアイ症例を見ない日はないといっても過言ではありません。従来処方可能であった人工涙液、ヒアルロン酸製剤に加え、近年では新しい点眼薬が相次いで発売され、治療の選択肢が増えたことは喜ばしいことと考えます。
一方で、単にこれらの治療薬を処方するだけでは治癒し得ないドライアイ症例に遭遇することがあります。
特に、シェーグレン症候群、眼類天疱瘡、眼GVHDなどに伴う重症ドライアイは、経過中に感染や薬剤毒性などを合併し、複雑な病態を呈することがあります。本講演では、これまでに経験した重症ドライアイ症例を呈示し、鑑別診断のポイントや治療法の選択について考察する予定です。
近年の光干渉断層計(OCT)をはじめとする種々の検査機器の開発により、網膜硝子体疾患の病態解明は飛躍的に進歩している。また、硝子体手術においては、より洗練されたシステムが導入され、安全性、確実性が高まっている。加えて、抗VEGF抗体などの新たな薬物療法の開発により、従来治療困難であった眼内血管新生性疾患の治療成績も向上している。しかし、現時点で、すべての疾患に対して満足できる治療成績が得られているわけではなく、さらなる病態解明や新たな治療法の開発が必要である。本講演では、まず日常臨床でしばしば遭遇する、糖尿病網膜症、黄斑上膜、黄斑円孔、網膜剥離などの疾患について、演者が日頃感じている診断および治療の問題点について述べる。次に、演者が日常臨床の中で抱いている素朴な疑問について、その中でも特に興味を持って研究してしも黄斑疾患の特殊性に関する新知見を中心に述べてみたい。
近年の緑内障診療における進歩として、診断面では画像解析装置の発達、治療面では配合剤の開発があげられる。しかし、画像解析装置の発達によって早期緑内障診断力が向上した反面、視野異常がないのにもかかわらず画像解析結果のみで緑内障と診断される例も増加している。さらに画像解析結果、あるいは視野の数量データのみで緑内障診療が行われ、細隙灯顕微鏡検査、隅角検査による病型確定が疎かにされ原発閉塞隅角症(緑内障)、続発緑内障が見逃されている場合も少なくない。また配合剤に関しても利便性が向上したに過ぎないにもかかわらず、安易な処方によって重層化した副作用が発現する例も増加している。
本講演では緑内障診療の基本検査である細隙灯顕微鏡検査、眼圧測定、ならびに隅角検査の流れを紹介しながら、演者の日常外来での緑内障診断の進め方を解説する。