第16回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
新年を迎えられ、先生方におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 「埼玉臨床眼科セミナー」は、埼玉医科大学総合医療センターと防衛医科大学が共催し、埼玉県下の眼科診療に携わる病院と診療所の密な医療連携、より充実した眼科医療の提供を目的として発足いたしました、第16回となる今回は、防衛医科大学校眼科の高山講師により増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術成績の多施設合同研究成績、そして特別講演には、川崎医科大学眼科2教授の長谷部聡先生、熊本大学医学部眼科教授の井上俊洋先生をお招きし、学会では聞けない貴重なご講話を拝聴できるかと存じます。講演会後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めていただければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学 眼科学教室
教授 竹内 大
増殖硝子体網膜症の合併症である硝子体出血、牽引性網膜剥離、血管新生緑内障、糖尿病黄斑浮腫に対する治療として硝子体手術が適応となる。25ゲージ極小切開硝子体手術システムやWide-viewing system等の手術器具の進歩、術直前の抗VEGF抗体硝子体投与等が一般化され、手術成績は改善している。しかしながら、いまだ一定の割合で術後合併症が生じて術後視力が不良となる症例がある。既報では、旧来の20ゲージでの結果、23ゲージ・25ゲージ極小切開硝子体手術の混在での多施設の結果、25ゲージ単施設の結果が報告されているが、25ゲージ多施設の結果はなかった。今回、Japan Clinical Retina Studyによる多施設共同・25ゲージ硝子体手術での結果とその解析による術後合併症の予測因子を報告する。
近視予防研究におけるディシプリンとして眼軸長の視覚制御が挙げられる。クリアな網膜像は眼軸長伸展の停止信号となり、逆に網膜像のボケは眼軸長が過伸展させ、近視化を促すとする考えである。
累進屈折力眼鏡、特殊非球面眼鏡、多焦点CL、Ortho-K等、初期の光学的近視予防研究はいずれも中心窩ないし周辺網膜において、網膜像のボケを取り除くことが主眼であった。しかし日常生活においては、視点や調節変動により周辺網膜における像のボケはダイナミックに変動している(Flitcroft)。このため光学的治療法は一部を除き、限定的な治療効果しか得られなかった。
近年DIMSレンズを始め網膜上のフォーカスとは別に網膜前方へのフォーカスを組み込む光学系により、眼軸長の視覚制御を機能不全に持ち込む方法論が登場し、成功しつつあるように見える。こうした光学的予防研究に見られるパラダイムシフトについてお話ししたい。
緑内障は現時点で我が国の後天性失明原因の第1位であるが、高齢化が進行するほど有病率は高くなることから、その診療が社会に与えるインパクトは、今後ますます大きくなると推測される。緑内障診療の基本は、日本緑内障学会発行の緑内障診療ガイドラインに明示されている。2018年1月に、その最新版である第4版が発表されたが、その後も概念、診断法、治療法は進歩し続けている。本講演では、ガイドラインに沿いながら緑内障診療にまつわる最近の話題について述べる。マイクロパルス波を用いた毛様体光凝固などの新しい治療手法の成績の検討も行い、皆様と一緒に緑内障診療の知識をアップデートすることで、明日からの診療の一助となれば幸いである。
Closing Remark 廣田 直人 先生 東町眼科 院長
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社